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LE HORLOGE(時計)
2006.10.05
中国人は猫の眼のうちに時間を読む。
一日南京城外を散策しつつ懐中時計を忘れたのに気づいた宣教師が、とある少年に時間を尋ねた。頑是ない中華の少年は一瞬躊躇っていたが、また思い直した様子でこう答えた。「只今お返辞いたしましょう。」そして間もなく、大きな逞しい猫を両腕に抱いて再び現れた。そして人の云うように、その白眼をみながら逡巡する気色もなくきっぱりとこう告げた。「もうすぐ正午でしょう。」…(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
面白いですね。現在公開中のボードレール氏の『巴里の憂鬱』の中にある詩の一節です。猫の眼には魔力が潜んでいるのでしょうか。猫の眼の中には月が在ります。館庭でも様々な毛色の猫のお散歩を、度々目にします。私には時を読む技術はありませんが、彼らのしなやかさと孤高の眼差しは見習いたいものです。
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