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ちょっとだけ調べもの

2008.05.09

突然ですが(笑)
…'96年に3館で巡回開催した回顧展『ジャン・ジャンセン ?愛と哀しみを描いて60年?』の折りには、評論家のミッシェル・レリティエ氏にジャンセンについての寄稿をいただいております。このレリティエ氏の書かれた文面の一部に関して連休最終日にお問い合わせをいただきましたので、今日はもう少し何か判らないかと調べてみました。結局日本語ではたいしたことは判らないままなのですが…この件について少しご紹介しておきたいと思いますのでよろしければおつき合いください。



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『…ジャンセンの表現による、アルベール・カミュのジュスト(直訳:義人)の作品をみてみたい。…』(ミッシェル・レリティエ氏文面より抜粋)
このアルベール・カミュとは1957年ノーベル文学賞を受賞した作家で、彼はジャンセン氏がカミュの「ジュスト」をどのように絵画表現するのかみてみたい、と言っています。念のため書き添えますがこの「ジュスト」をジャンセン氏が絵画にしたものは(残念ながら)存在しません。しかし同じカミュの書いた『劇場』という作品は氏も描いています。
「ジュスト」は日本の書物となるとき「正義の人びと」または「正義の人」と訳され出版されています。またカミュと言えば『異邦人』や『ペスト』が有名ですが、このペストとほぼ同時進行で進められけれど2年後の発表となった作品がジュストでした。そして直訳の"義人"とは『正義や道理に従いよく守るひと、他のために我が身を投げ出し尽くすひと』を言い、イエスのみがその具象と言えるのだとか。
なぜレリティエ氏がこのようなことを言い出したかというのは(書ききれませんので)館で文面全体をご覧いただくとして(スミマセン)…先の「劇場」にみられるようにジャンセン氏は様々な文学からも触発され作品を描いてきました。
当館の一昨年の秋期企画『パリの憂鬱展』はシャルル・ボードレール氏の散文詩「パリの憂鬱」にジャンセン氏の挿画を合わせ版画制作された挿画集を解体公開したのですが、他にもフランソワ・ヴィヨンやセルバンテスの諸作品等からもイマジネーションを膨らませ発表しています。そしてまた、他の画家たちの手による同書から生まれる作品も多いのです。このことは現代作家のみならず、例えば神話の中の「運命の神々」はかの大家ゴヤも描いているのです。
つまり、なにも新しいことをすることだけが独創性や創造に結びつくのではありません。これらは芸術がひとつの輪になって繋がっているということ、…いりぐちはどこでも構わない、興味が持てたところから始めたらそれが始まりなのだ、ということなのだと私は思います。
ジャンセン氏の挿画集はどれも限定冊数で制作されており、現在ではばらされて額装され販売されているケースがほとんどです。製本のままであるものは世界中のコレクター数人のみが保存していますのでなかなかまとまったものを目にする機会が無いというのも非常に残念なことです…。当館では保存している挿画集につきましてはまた順次公開し、多くの文学ファンの方にもぜひご覧いただけたらと願っております。どうぞお楽しみに!☆