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挿画集(挿画本)のこと(2)

2011.03.06

今日は昨日の最後に触れた『更なる楽しみかた』について追記したいと思います。
写真は今回、作品展示と合わせてガラスケースでご紹介しているリンコネットとコルタディロの挿画本そのものです。大きさは、およそ縦350mm×横260mm×厚さ50mmといったところでしょうか。外箱は赤。背表紙に刻まれたタイトルも赤文字です。ここでちょっとこちらを憶い出してみましょう。(以前開催したシャルル・ボードレールの散文詩『パリの憂鬱』の挿画本の装丁です。)背表紙には作家の名を縦に入れていて、外箱もカバーもすべて蛇柄です。…たったこれだけでもセルバンテスとボードレールの作風や性質が異なることが伺えますよね。

そして下の写真はリンコネットの挿画本の最後の最後にあるページ。ジャンセンさんのサインがきちんと入ってますね。ここには『どういった経緯で、どこの印刷工房で、誰の手によって、どんな用紙に、どんな書体で、何部刷ったか』といった情報が書かれています。そしてこの中の、…例えば工房名を追いかけると、あの人もあの人もあの人もこの工房を使っていたんだな?などまた面白いことが判ったり。これは刷り師さんの名前でも同じです。また例えば書体を追いかけると誰がどういうきっかけで作って利用していたのか、はたまた他にどう利用されていたのかなどを知ることも出来たり。例えば用紙の種類から調べてみると作られた意図や、どんなものに使われてきたのかがわかったり。そもそもこの挿画集を作った団体が何だったのか、ということなんかも追いかけてみることも出来たりします。こうしてたった1枚の紙でも、絵画同様に沢山の情報を隠していて面白いものなのです。