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Danae
2008.04.20
今年度の常設展で初公開となった習作と一緒に、久々登場のこのダナエー。
これはギリシャ神話の中に登場するある女性を表しており、ジャンセン氏の【神話】シリーズの中の1枚です。
この神話のこの女性は、ジャンセン氏のみならずこれまでも多くの画家によって描かれているのですが、日本では他文明の神話世界を詳しくご存知の方はあまり多くないように感じますので、今日はこちらを少しご紹介させていただきたいと思います。
アルゴス(ギリシャのペロポネソス半島に実在する都市)の王女としてダナエーは生まれ、その後も美しく育ってゆく。
しかし父であるアルゴス王アクリシオスは世継となる息子を望み、神託を受けるも『汝、男子授かることなかれ。されど汝、娘の子にて男子授かる。そして、その後汝その男子に殺されるであろう。』と下る。
そこで死を恐れ孫を恐れた父王は、愛娘を青銅の塔に閉じ込め男が近づかないようにした。が、美しい娘は天界神ゼウスの目に留まる。そしてゼウスはその身を黄金の雨に変えてダナエーの前に現れ、ダナエーは息子ペルセウスを妊娠出産することに。孫の誕生を知った父王はそれでも愛する娘と孫を手にかけることを躊躇し、二人を箱に閉じ込め海へ流した。その後、運良く漁師に助けられた二人であったがその後漁師の兄で島の領主ポリュデクテースがダナエーを気に入ってしまったことで、彼の奸計によって息子とともに追いつめられ…。
と、美しさと王女という地位ゆえに波瀾万丈な人生となっていくのですが、彼女の分岐点であったゼウスが黄金の雨となって彼女を訪れた場面を描いているのです。
ジャンセン氏が彼女のなかの『何』に心を動かされ作品制作に至ったのか、神話からいよいよ虐殺へと向かったわけですがその経緯の一端をご覧いただけるのではないでしょうか。
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