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LE CREPUSCURE DU SOIR(黄昏)《#2》

2006.11.17

…ああ黄昏、汝の如何に甘く優しきかな!
勝ち誇らんとする夜の威圧の下に、一日の縡(こと)きれる苦悩の如く、なお水平線に棚曳いている薔薇色の光、日没の最期(いまわ)の栄光の上に、濁った赤い汚点(しみ)をつくる諸々の燭火の火穂(ほのお)、東洋(ひんがし)の奥処(おくが)より眼に見えぬ手の抽きいだす重い絨毯、それらは、生命の荘厳なる時刻に於て、人の心中に互に相剋する、すべての複雑した情緒を模倣している。…
(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)